愛猫の顎(あご)や口周りに、黒いブツブツができているのに気づいたことはありませんか?これは「猫の顎ニキビ」と呼ばれる皮膚トラブルです。
性別や年齢、猫種にはあまり関係なく、どの猫にも起こりうる症状です。体質によっては繰り返し再発することもあります。
本記事では、顎ニキビができる場所や症状の段階、原因、正しいケアと予防のポイントを解説します。
猫の顎ニキビとは
猫の顎ニキビは、皮脂腺からの分泌物が毛穴に詰まり、炎症を起こすことで生じる皮膚トラブルです。黒い砂粒のようなブツブツが顎の下にできるのが特徴で、唇や口角にできることもあります。
見た目や仕組みは人間のニキビと似ていますが、原因やできやすい部位は異なります。猫のニキビは「座瘡(ざそう)」や「アクネ」と呼ばれることもありますが、人間のニキビとは別のものと考えられています。
顎にできやすい理由
猫の顎ニキビが顎に集中してできやすいのには、2つの理由があります。
顎は皮脂腺が多い
猫の顎周辺は皮脂腺が多く、皮脂が過剰になりやすい部位です。皮脂が多すぎると毛穴が詰まりやすくなり、ニキビの原因になります。
毛づくろいがしにくいこと
猫は普段、前足を舐めて顔を洗いますが、顎の下は自分の舌が届きにくく、うまく毛づくろいができません。そのため、食べカスやよだれなどの汚れが残りやすく、雑菌が繁殖しやすい状態になります。特にウェットフードは毛に付着したまま残りやすいため注意が必要です。
症状レベルと見分け方
顎ニキビは症状の程度によって初期・進行・重症化の3段階に分けられ、段階ごとに対応が変わります。

初期
皮脂が毛に絡み、黒い砂粒のようなブツブツが見える状態です。この段階では猫がかゆがる様子はほとんどなく、無症状のまま気づかれないケースも少なくありません。
進行
症状が進行すると、毛が抜けて赤い斑点ができたり、ブツブツの範囲が広がったりします。膿の溜まった丘疹(きゅうしん)や、しこりができることもあります。猫がかゆがったり痛がったりして患部を家具にこすりつけるような仕草を見せる場合もあります。この段階に気づいたら、動物病院への受診がおすすめです。
重症化
さらに悪化すると、広範囲が炎症を起こし、ただれて出血したり、細菌感染によって化膿したりします。強い臭いを伴うこともあります。この状態では自宅でのケアでは対応できないため、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
猫の顎ニキビができる原因
猫の顎ニキビの直接的な原因は、皮脂腺からの分泌物が毛穴に詰まり、炎症を起こすことです。それ以外にも、以下のようなさまざまな要因が関係していると考えられています。
- 食器に繁殖した雑菌
- 食器素材のアレルギー
- 毛づくろい不足による汚れの蓄積
- ストレス
- ホルモンバランスの乱れ
- フードが合わない
- ニキビダニ症(毛包虫症)
次項で、それぞれの原因を詳しく解説するとともに、原因別の対処法も紹介します。
猫の顎ニキビの対策・予防
食器の見直し
フードや水を入れる食器は、食べ残しや唾液によって雑菌が繁殖しやすく、顎の周辺に雑菌が付着しやすくなります。
汚れやアレルギーが生じにくいガラス製や陶器製の器をおすすめします。
- プラスチック:表面に傷がつき汚れが落ちにくいため、細菌やカビが繁殖しやすい
- ステンレス:アレルギー反応を起こす子もおり、ニキビの原因となる場合がある
こまめな顎のケア
顎の下は自分では舐めにくく、汚れが残りやすい部位です。汚れていたら、お湯で濡らした清潔なコットンやガーゼで軽く拭き取ってあげましょう。
フードの見直し
他に問題が見当たらないのにニキビが続く場合は、フードが合っていない可能性も考えられます。特に脂肪分が多いフードでニキビができることがあるとされていますが、脂肪分が少なすぎても皮脂の分泌が増えてニキビの原因になることがあります。食物アレルギーが疑われる場合は、必ず動物病院に相談しましょう。
清潔な環境を整える
猫がいつも同じ敷物に顎を乗せて寝ている場合、そこに汚れがついて雑菌が繁殖している可能性もあるため、敷物は清潔でやわらかいものに替え、こまめに洗濯することも大切です。
ストレスが溜まりにくい環境を整える
引っ越し、新しい猫が家に来た、家族構成の変化など、生活環境の変化は猫にストレスを与えます。猫を取り巻く環境を見直し、ストレスの原因になっているものがないか観察してみましょう。原因がわかったら、落ち着いて過ごせる場所を用意したり、遊ぶ時間を増やしたりする工夫が有効です。改善しない場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
ニキビダニ症(毛包虫症)
ニキビダニ(毛包虫)が毛包に寄生することで皮膚に炎症が起こり、ニキビの原因になることもあります。ニキビダニは健康な猫の皮膚にもわずかに存在する寄生虫で、免疫力が低下しているときに炎症を起こすと考えられています。ニキビダニ症の症状が疑われる場合は、必ず動物病院を受診しましょう。
猫の顎ニキビの正しいケア方法
あごニキビケアの基本は適切な清拭です。軽度の症状であれば自宅でケアが可能ですが、正しい方法で行いましょう。
まずは、猫を安心できる場所で落ち着かせることから始めます。膝の上に乗せたり、お気に入りの場所でリラックスさせたりしながら行うと、猫のストレスを最小限に抑えることができます。急に拘束したり、無理やり押さえつけたりしないようにしましょう。
正しい拭き方

1.清潔なコットンを38度程度のぬるま湯で湿らせ、猫のあごに当てて汚れをふやかす
ふやかすことで固まった汚れが落ちやすくなります。力を入れすぎず、軽く押し当てるようにしましょう。

2.コットンに専用クリーナー等をひたす
ぬるま湯でもよいですが、猫専用のケア用品を用いるとより効果的なケアが可能になります。ケア用品は、天然成分など皮膚に優しい成分であること、猫が舐めてしまっても問題ないものを選びましょう。

3.毛並みにそって、口元から下に向かってやさしく撫でるように拭く。
無理に黒い粒を取ろうとしてゴシゴシこするのはNG。

4.乾いた清潔なタオルで水分を拭き取る。
濡れたままだと雑菌が繁殖しやすいため、乾いた清潔なタオルで水分を拭き取るとよいでしょう。
おすすめの専用ケア用品
やってはいけないこと2点
- 猫のニキビは人間のニキビとは異なるため、自己判断で人間用のニキビ治療薬を使用しないこと
- 爪や歯ブラシ、鋭利なものでこすって取ろうとしないこと(傷や炎症の原因になります)
動物病院を受診する目安
軽度であれば自宅ケアで様子を見ることができますが、以下のような場合は動物病院を受診しましょう。
- 毛が抜けて赤い斑点ができている、かゆがる・痛がる様子がある(中度)
- ただれや出血、化膿が見られる(重度)
- ケアをしても改善しない、繰り返し再発する
- 手術後に急にニキビができた
なお、顎の黒いブツブツはニキビ以外に、アレルギー性皮膚炎などの可能性もあるため、自己判断せず動物病院で診てもらうことも大切です。動物病院では、症状に応じて洗浄や外用薬、シャンプーなどによる治療が行われます。
まとめ
猫の顎ニキビは、毛づくろいがしにくい顎の下に特にできやすい皮膚トラブルです。黒いブツブツに気づいたら、ぬるま湯で湿らせた清潔なコットンやガーゼでやさしく拭き取ってあげましょう。
同時に、食器やフードの見直し、ストレスの有無、ホルモンバランスの乱れなどもチェックすることが大切です。ニキビダニ症などが原因の場合や、症状が軽くならず繰り返し再発する場合は、何らかの基礎疾患が隠れている可能性もあります。気になる症状が見られたら、自己判断せずに早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。