猫のストレスサイン、見逃さないで!原因と対処法

猫のストレスサイン、見逃さないで!原因と対処法

「最近、うちの猫の様子がおかしいな」ということはありませんか?それは言葉を話せない猫からのSOSかもしれません。
猫のストレスは、飼い主さんが気づきにくい行動や体調の変化として現れることがあります。

今回は獣医師の視点から、見逃してはいけない猫のストレスサインとその原因、対処法をまとめました。

▼目次

見逃さないで!猫のストレスサイン5選

猫はとても繊細で、生活環境の変化が苦手な生き物です。猫がストレスを感じると、体調や行動に変化が見られます。過度なストレスは体調不良や病気を引き起こすこともあるため、できるだけ早く察知して対策してあげたいですね。
特に注意したい5つの代表的なストレスサインを見ていきましょう。

1. 過剰なグルーミング

<症状>
お腹や足の付け根など、特定の場所を執拗に舐め続け、毛が薄くなったり皮膚が露出したりしてしまう。

<原因>
猫はリラックスするために毛づくろいをしますが、過度なストレスを感じると、気持ちを落ち着かせるための「転位行動」として過剰に舐めてしまうことがあります。これは人間の「爪噛み」に近い心理状態です。これを「心因性脱毛」と呼ぶことがあり、皮膚病との鑑別が必要です。

<対処法>

  • 退屈の解消: 狩猟本能を満たす遊びを取り入れたり、上下運動ができるキャットタワーを設置したりして、エネルギーを発散させましょう。
  • 専門家の受診: 皮膚炎やアレルギーが原因で痒がっている可能性もあるため、まずは動物病院で皮膚の検査を受けることをお勧めします。

2. トイレの失敗

<症状>
今まで完璧だったのに、急に布団やソファ、部屋の隅などトイレ以外の場所で粗相をするようになった。

<原因>
これは飼い主様への嫌がらせではありません。
猫は本来とても清潔好きな動物のため「トイレ環境が気に入らない(汚れ、設置場所、砂など)」可能性があります。
また「排泄時に痛みがある」というSOSであるケースも考えられます。特にストレスは「特発性膀胱炎」の引き金になりやすく、痛みからトイレを我慢したり、失敗したりすることがあります。

<対処法>

  • トイレ環境の見直し: トイレは常に清潔に保ち、数や設置場所も見直しましょう。静かで落ち着ける場所に設置してください。砂の種類を変えただけでもストレスになることがあるので注意しましょう。
  • 早急な受診: いったん原因を取り除いてもトイレの失敗が続く場合は、病院へ行きましょう。また「おしっこの回数が多い」「おしっこの色が赤い」「おしっこが出ていない」などの症状は緊急事態のため、すぐに獣医師に相談してください。

3. 隠れたまま出てこない


<症状>
来客が帰った後も出てこない、あるいは普段くつろいでいる場所に姿を見せず、押し入れやベッドの下に長時間隠れている。

<原因>
引越し、騒音、新しいペットなど「環境の変化による恐怖や不安」が原因になっている場合があります。
また「体に痛みや不調がありじっとして回復を待っている」可能性も考えられます。猫は体調が悪い時、外敵から身を守るために狭く暗い場所に身を潜める習性があります。

<対処法>

  • 無理強いはNG:無理に引きずり出すと余計にパニックになるため、しばらくそっとしておきましょう。
  • 安心できる隠れ家を用意する: ダンボールやドーム型ベッドなど「ここなら絶対安全」という逃げ場を用意してあげましょう。
  • 観察: ごはんやおやつの時間になっても出てこない場合は、病気の可能性を疑ってください。

4. 食欲不振・過食

<症状>
急にごはんを全く食べなくなったり、逆に異常なほど執着して食べ続けたりする。

<原因>
「環境変化による不安」で食欲が落ちることが一般的です。ストレスによる「やけ食い、異食」が見られることもあります。
「病気が潜んでいる」こともあるので注意が必要です。

<対処法>

  • 食事環境の改善: 他の同居動物に邪魔されず、静かに食べられる場所を提供してください。
  • 24時間ルール: 「様子見」は24時間が限度です。丸一日何も口にしない場合は、すぐに動物病院へ相談してください。
    肥満気味の猫の場合、丸1日以上何も食べないと、肝臓に急激な負担がかかる「肝リピドーシス(脂肪肝)」という命に関わる病気を発症するリスクがあるため注意が必要です。

5. 攻撃的になる・鳴き続ける

<症状>
撫でようとすると「シャー!」と威嚇する、突然噛み付く、あるいは夜鳴きがひどくなる。

<原因>
環境の変化(引越し、騒音、来客)、同居動物との相性、身体の不調(病気・ケガ)など多岐にわたり、「転嫁行動(八つ当たり)」として現れることもあります。
体のどこかに痛みがあり「触られたくない」という防衛本能が働いているケースも見られます。

<対処法>

  • 距離を置く: 興奮している時は手を出さず、落ち着くまでそっとしておきます。
  • 原因の特定: 騒音、新しい同居人、新しいペットなど、きっかけがないか探ります。
  • 病院も視野に:触ると怒る特定の部位がある場合は、怪我や関節炎の疑いがあります。続くようなら病院で相談しましょう。

猫のストレスの原因は?

猫は、安心できる縄張りと決まったルーティンを好み、「いつも通り」に安心する生き物です。私たち人間にとっては些細な環境の変化でも、猫にとっては大きなストレスとなる場合があります。
ストレスサインに気づいたときは、まずは以下の「ストレスの原因になりやすいポイント」をチェックしてみてください。

生活環境の変化

引越し、部屋の模様替え、新しい家具の臭いなど

家族構成の変化

新しい家族(赤ちゃんや配偶者)が増えた、同居動物(ペット)が増えたなど。

騒音・振動

近所の工事音、雷、花火、子供の騒ぐ声など

不在時間の増加

長時間の留守番、飼い主さんとのコミュニケーションが減ったなど

季節の変わり目

急激な気温・気圧の変化など。

背後に疾患が潜む場合も!

ストレスサインの発生には、背後に疾患が潜んでいる場合もあります。
特にストレスの原因が思い当たらないのにいつもと様子が異なっていたり、ストレスサインがいつまでも続く場合は、早めに病院へ行きましょう!

まとめ:ストレスサインに気づいたら

愛猫にストレスサインが見られたら、まずは「叱らないこと」が鉄則です。猫からのSOSを受け止めて、ストレスの原因を探ってください。

ケアのポイント

  • 環境を整える: 隠れ家の確保、高い場所、清潔なトイレ、静かな環境
  • スキンシップ: 猫が望むタイミングで優しくスキンシップ。
  • 病院へ相談:「ストレスかな?」と思っても、背景に膀胱炎や皮膚炎、内臓疾患などの病気が隠れていることもあります。気になったら病院へ行きましょう。

飼い主として、猫が安心して過ごせる環境を整えてあげることが重要です。
また自己判断せずかかりつけの獣医師に相談することが、愛猫の心と身体を守る一番の近道です。
愛猫が健やかな生活を過ごせるよう、ストレスサインの早期発見に努め、適切な対応を心がけていきましょう。

監修

渡邊 遥 先生

おうち de ペットクリニック

2015年日本大学卒業、獣医師免許を取得。4月より横浜市の動物病院で小動物臨床に従事。
その後ペット関連企業での研究開発や商品開発、グループ動物病院の運営に従事し、様々な視点での犬猫の生活・診療に携わる。

2022年に福岡県内で往診専門動物病院を開院し、在宅動物医療にあたる。また、「どうぶつとの社会は、人を豊かにする」をテーマにペット関連事業者のサポートやペット業界での講演や執筆など幅広く活動を行う。

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